712年 古事記の撰上

太安万侶
太安万侶
語呂合わせ

奈良で人に(712)聞いて、古事記の撰上

古事記こじきは、天武てんむ天皇の国史編纂事業によって稗田阿礼ひえだのあれの暗唱した内容を、元明げんめい天皇の命によって太安万侶おおのやすまろが筆録してできた現存する日本最古の歴史書です。

撰上とは、編纂された書物を天皇に献上することを意味します。

目次

天武天皇の国史編纂事業

天武天皇
天武天皇

古事記の成立を理解するためには、まず天武てんむ天皇の時代にさかのぼる必要があります。

天武天皇(在位673-686年)は、律令制度の整備と並行して、国史編纂事業を本格的に開始しました。

帝紀と旧辞の整理

天武天皇の命により開始された国史編纂事業では、それまで各氏族が個別に保持していた帝紀(天皇の系譜)と旧辞(古い伝承)の整理統合が進められました。

暗記の達人、稗田阿礼

稗田阿礼ひえだのあれは、天武てんむ天皇に仕えた舎人でした。

彼は類まれな記憶力の持ち主として知られ、天皇の命により帝紀旧辞を暗誦することを任されました。

元明天皇の時代に完成

元明天皇
元明天皇

天武天皇の没後、この事業は継承され、元明げんめい天皇(在位:707〜715年)の時代に完成しました。

元明天皇は女性天皇として、文化事業にも力を入れていた人物です。

太安万侶による編纂

太安万侶おおのやすまろは、古事記を実際に文字として記録した人物です。

元明げんめい天皇の命により、稗田阿礼ひえだのあれが記憶していた内容を文字に起こし、712年に古事記として完成させました。

古事記 ― 現存する日本最古の歴史書

古事記は、神代から推古天皇の時代までの事績が記録されています。

漢字の音と訓を使って日本語ヤマト言葉)で書かれました。

日本書紀との違い

古事記とほぼ同時期に編纂された日本書紀(720年完成)との違いは以下のとおりです。

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項目古事記日本書紀
成立年712年720年
作成太安万侶、稗田阿礼舎人親王
記述言語日本語漢文
内容神代から推古天皇まで神代から持統天皇まで
対象国内向け国外向け

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