菊池容斎, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
語呂合わせ
南無、無(766)理に、道鏡、法王となる
道鏡は、称徳天皇の寵愛を受け、天皇に匹敵する地位とされる法王となりました。
目次
道鏡、台頭の背景
孝謙上皇
道鏡は河内国(現在の大阪府東部)出身の僧侶で、法相宗の学僧として活動していました。
道鏡が注目されるきっかけとなったのは、孝謙上皇(重祚前の称徳天皇)の病気治療でした。
道鏡の看病と祈祷によって上皇の病気が回復したとされ、これが二人の信頼関係の始まりとなりました。
太政大臣禅師という異例の地位
765年、道鏡は「太政大臣禅師」という前例のない地位に任命されました。
太政大臣禅師は、太政大臣と同等の地位とされ、道鏡のために特別に創設されたものです。
道鏡は、僧侶でありながら政治の最高責任者となったのです。
西大寺の建立
奈良時代の西大寺(模型)
西大寺は765年に称徳天皇の発願により建立が開始された大寺院で、東大寺と対をなす存在として計画されました。
百万塔の製作
百万塔
百万塔の製作は、称徳天皇が発願した事業で、文字通り百万基の小塔を製作し、それぞれに陀羅尼(経文)を納めるというものです。
陀羅尼は木版や銅版で印刷され、世界最古の印刷物といわれています。
恵美押勝の乱の戦没者を慰霊するためにつくられました。
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加懇禁止令
道鏡は、加懇禁止令(墾田禁止令)を発布して、寺院以外の新たな土地の開墾を禁止しました。
これは、墾田永年私財法を否定するもので、とりわけ貴族の力を削ぐための政策でした。
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法王に就任
766年、道鏡は太政大臣禅師からさらに「法王」という地位に昇進しました。
法王とは仏教における最高位の称号で、天皇に次ぐ地位とされました。
これは日本史上初めてのことで、僧侶が世俗の権力においても天皇に次ぐ地位を占めるという前代未聞の事態でした。
この法王への昇進の背景には、称徳天皇の仏教に対する深い信仰と、道鏡への絶対的な信頼がありました。
また、当時の政治情勢として、藤原氏の力が一時的に弱まっていたことも道鏡の地位向上を可能にした要因の一つです。
宇佐八幡宮からの神託
その後、宇佐八幡宮から「道鏡を天皇にすべし」という神託が下ったとの情報がもたらされることになります。
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