935年 平将門の乱

平将門たいらのまさかどの乱は、平将門が新皇しんのうを名乗り関東一帯で起こした反乱です。

藤原秀郷ふじわらのひでさとや平貞盛たいらのさだもりによって討伐され、乱は鎮圧されました。

同時期に起こった藤原純友ふじわらのすみともの乱（939年）と合わせて承平じょうへい・天慶てんぎょうの乱と呼ばれ、朝廷の支配体制が大きく揺らいだ事件として知られています。

坂東の武者、平将門

平将門は、桓武かんむ天皇の子孫である桓武平氏の出身で、坂東ばんどう（現在の関東地方）で勢力を持っていました。

しかし、一族内では所領をめぐる争いが絶えず、将門もまた内紛に巻き込まれていきます。

内紛から反乱へ

将門は、親族の平国香たいらのくにかや平貞盛との所領争いをきっかけに武力衝突を起こしました。

平貞盛は、平国香の子です。

その後、下野しもつけ、常陸ひたち、上野こうずけの国府を襲撃し、地方の行政機構を自らの手に握るなど、行動は次第に反乱の様相を強めていきます。

将門、新皇を名乗る

こうした中、将門は自らを「新皇」と称して独自の政権を関東に樹立しました。

新皇とは、新しい天皇という意味です。

これは朝廷に対する重大な反逆行為であり、朱雀すざく天皇のもとで追討軍が編成されます。

藤原秀郷・平貞盛の追討

将門討伐の命を受けたのは、藤原秀郷や、将門と敵対していた従兄弟の平貞盛です。

藤原秀郷は、下野国の地方武士です。

秀郷・貞盛の連合軍は将門を追い詰め、下総国の猿島で将門を討ち取りました。

乱の影響

平将門の乱は、律令制度が地方で十分に機能しなくなっていたことを象徴する出来事であり、後に成立する武士階級の原型の台頭を示す重要な転換点でもありました。

将門自身は当時「武者」として活動していましたが、彼のような存在がやがて「武士」へと発展していく契機となります。

将門は一時、朝廷に背いた「朝敵」とされましたが、後世では関東の人々から「英雄」として信仰され、現在も首塚をはじめとする伝説が語り継がれています。