969年 安和の変

安和あんなの変は、源高明みなもとのたかあきらが源満仲みなもとのみつなかの密告により失脚した事件です。

この事件により、藤原北家以外の有力貴族が政界から排斥され、藤原氏北家が政治の主導権を完全に掌握することになりました。

悲劇の貴公子、源高明

源高明は、醍醐だいご天皇の皇子として生まれ、のちに源姓を賜って臣籍に降下した名門貴族です。

右大臣まで昇進し、当時の政界で大きな影響力を持っていました。

源高明は、源氏物語げんじものがたりの主人公である光源氏ひかるげんじのモデルの一人ともいわれています。

源満仲の密告

事件の発端は、武士として頭角を現していた源満仲が、「源高明が謀反を企てている」と密告したことでした。

源満仲は、藤原純友の乱で活躍した源経基みなもとのつねもとの子です。

この密告により、朝廷内で源高明への疑念が高まり、彼は一気に追い詰められていきます。

源高明は太宰府に左遷

証拠の有無がはっきりしないまま、源高明は謀反の疑いで右大臣を解任され、遠く九州の太宰府だざいふに左遷されました。

これにより、政界から完全に姿を消すことになります。

藤原北家、政界を独占へ

この事件によって、有力貴族である源高明が失脚し、藤原北家の藤原実頼ふじわらのさねよりが実権を握るようになります。

こうして、藤原氏による摂関政治の体制が確立へと向かい、他氏排斥の道が完成したのです。